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2024.01.22 / エシカルライフ

【ふたつぶの持続可能な暮らし #4】新入り広報、エシカルライフへの道「オーガニックコットン」前編

新入り広報の私(通称:あやぽん)と、喫茶ふたつぶ・店主の香織さんがお送りする対談コラム。このコラム記事では、ふたつぶが大事にしている「地球にも自分にもやさしい暮らし」について考え、香織さんとの対談を通して”やさしい暮らし”を実践する様子をお伝えしていきます。

今回のテーマは、オーガニックコットンです。なかなか奥深い内容だったので、前編と後編の2回に分けてお届けします!

いろんな問題が見えてくる、オーガニックコットン

香織さん:「オーガニックコットン」というキーワードが出た時に、これは簡単には話せないなと思いました。

あやぽん:今回のテーマは私から提案しましたが、「オーガニックコットンって、何がいいのだろう」という素朴な疑問からでした。軽い気持ちで聞いたのですが、重たいテーマになってしまいましたか。

香織さん:オーガニックコットンについては奥深いというか、いろんな問題が見えてくるテーマですね。でも、この対談企画を始めようと決めたきっかけと、私の原動力になっている想いの部分に直結してくる話題です。最終的には「このお題を振ってくれて、ありがとう」という気持ちでいます。

今回は少し説明が長くなりそうなので、前半と後半に分けてお話できたらと思っています。あと、最初にお伝えしておきたいこととして、オーガニックコットンではないコットンがだめと言いたいわけでは決してないです。

環境や生産者の方々に負担が大きい生産背景や、製品になる過程での処理などを知らずに、商品を選んでいる方もおられるかと思います。裏側を知ってもらうことで、選択に変化が生まれたらいいなという想いでお話させていただきます。

私も生産現場を実際に見たことがあるわけではないので、偉そうに語れる立場ではありません。それでも気になるという方は、このまま読み進めてもらえたら嬉しいです。

オーガニックコットンとは

香織さん:オーガニックコットンのどんなことを知りたいと思ったのか、教えていただけますか?

あやぽん:オーガニックコットンという名前がつくと、環境や身体にいいのかなってイメージがついて、若干価格も上がると思います。環境や身体のことを考えたら、取り入れた方がいいものだと思うけれど、はてさて本当は一体何がいいのか。裏側のことや選ぶ理由を改めて知りたいと思いました。

香織さん:オーガニックコットンが身体にやさしいとか、少し高いなという印象を持っておられる方は多いと思います。私も以前はそうでした。

環境や生産する人、身につける人の肌にもやさしいのがオーガニックコットンで、そうではないのが普通のコットンという感じ。ものすごく簡潔に言ってますが……。

この違いを詳しく見ていくと、そんな簡単にまとめてはいけないような深刻な問題が見えてきます。その中で、大きな違いを3つ挙げます。

  • 栽培方法
  • 収穫方法
  • 生地や製品になるまでの工程


それぞれ説明をしていきますね。

オーガニックコットンは、遺伝子組み換え種子は使わず、有機栽培の基準設定に沿った土壌で、農薬や化学肥料を頼らずに栽培。綿花の収穫は、状態を見ながら手作業でされます。

その背景には、児童労働もなくフェアトレード(公正取引)。糸から生地になる工程では、化学的な処理をされていない or 最低限の処理で抑えられています。

これが、オーガニックで栽培された綿花とその綿花で作られた製品の話です。

逆に普通のコットンは、遺伝子組み換え種子の可能性が高く、栽培期間には農薬や化学肥料などの化学薬品がたくさん使われます。綿花の収穫時は、効率よく一気に綿花を刈り取るために、枯葉剤を使って収穫するような方法がとられているそうです。

綿花の栽培だけではなく、糸から生地、製品になるまでの工程でも様々な化学薬品が使われているのが、一般的なコットン製品の説明になるかと。

あやぽん:様々な工程で農薬や化学薬品が使われていますね。

綿花

綿花には、多くの農薬が使用されている

香織さん:綿花に使われている農薬量について、数字を出してお伝えしようと思います。

世界中の綿花栽培の面積は、世界中のいろんな農作物の耕作地面積の中で、わずか2.5%ほどだと言われています。その2.5%ほどの面積で、世界で使用される殺虫剤などの農薬の約20%が、綿花栽培で使用されているという報告があるそうです。

イメージ、つきますか?

あやぽん:2.5%の面積に対して、世界中で使われている農薬の約20%だと、約10倍の量ですかね。それくらい多くの農薬が使われている現状というのは、数字で見るとびっくりです。

香織さん:びっくりですよね。「綿花は世界の農作物の中でも、農薬や化学薬品が一番使われている作物ではないか」と言う人もいます。

生産地による違いは多少あるものの綿花は食品ではないため、農薬の使用に関する規制が、ほとんどないそうです。ここにも効率よく大量生産するために、たくさんの化学薬品が使われてしまう背景があるかと。

もう一つ、数字をお伝えすると、1キロの綿花を収穫するのに5キロの農薬が使われているという調査もあるそうです。

あやぽん:この数字もびっくりです。ものに対して、約5倍に相当していますね。

香織さん:Tシャツ1枚に450gのコットンが使用されると仮定した場合、約150gの農薬が使用されている計算になるそうです。

あやぽん:だいぶ使われていますね。

香織さん:農薬がたくさん使われていることは認識としてありましたが、数字までしっかり記憶にはなくて。今回お話するにあたって調べてみて、数字で出すと驚きですね。

あやぽん:私もきっと農薬は使われているだろうと思っていましたが、香織さんが数字で説明してくださってありがたいです。

製品になるまで使われる化学薬品

あやぽん:製品になるまでの工程では、どんなことに化学薬品が使われているのですか?

香織さん:私も気になって、何に使われるのかを調べてみました。

オーガニックコットンには、生地の中につぶつぶのようなものが入っていますが、普通のコットンには入ってないと思います。綿花の周りの小さな茎や枯葉のかけらが混ざり、つぶつぶとなって出てくるようです。

普通のコットンは、そういうものを目立たなくするためや発色をきれいにするために、漂白剤が使われます。あと、色をつける際に使われる染料にも化学薬品が使われます。生地を扱いやすくしたり、質感を良くしたりするために、柔軟剤なども使われるそうです。本当に、様々な工程ですね。

あやぽん:栽培だけでなく、その後の工程でも化学薬品が使われているのは、全然想像がつかなかったです。

栽培以外の生地や製品が作られるまでの生産過程でも、様々な化学薬品が使われているのを知れて良かったです。自分たちは製品しか見てませんが、その裏側のことをもう少し考えないといけないなって、改めて思います。

香織さん:製品の裏側を想像できるようになりたいですね。そうすると、選択が変わってくると思います。

ここまでが、オーガニックコットンと普通のコットンの違い、綿花栽培にはたくさんの化学薬品が使われているというお話です。

オーガニックコットン

身体にやさしい素材を選ぶには

香織さん:お伝えしたいことが、もう一つあります。本当に身体にやさしい素材を選びたい場合は、オーガニックコットンという表記だけで選ぶのではなく、認証マークがあるかどうかを見る必要があります。

農薬や化学肥料不使用の綿花が使われていたとしても、製品になるまでの過程で普通のコットンと同じような化学処理をされているもの。それをオーガニックコットンと表示している製品も、世の中には出回っているそうです。

「オーガニックと書いてあるから」ではなく、「認証マークあるかな」「信用できるメーカーかな」ということも意識して選んでいただきたいです。

オーガニックコットンの表記には、法的な決まりはないようなので。製品になるまでの生産過程で一貫してオーガニックなものと、実は違うものが存在すること。そこをぜひ知っておいていただきたいと思います。

あやぽん:ありがとうございます。言葉だけに踊らされずに。

香織さん:まさに、そうですね。

あやぽん:オーガニックコットンという表記の裏側も、見ていく必要がありますね。

香織さん:はい、前半はこのくらいで終わりにしましょうか。また次は、後半でお話をしていきたいと思います。


第5回へ、続く。

編集後記

なんとなく「オーガニックコットン」をテーマにしたところ、まさかの長編で2回に渡ってお届けする流れになりました。香織さんが調べてくださったおかげで、表面的な話ではなく裏側の深いところに足を踏み入れた気がします。後半はまた違う角度でのお話になるので、ぜひ続きも見ていただけると嬉しいです。

Text:ふたつぶ広報・あやぽん
Photo:喫茶ふたつぶ・香織さん

後編はこちら

第1回「富山から糸島へ移住」
第2回「ミツロウラップをつかってみたら…」
第3回「湯たんぽのすすめ」

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